玉はなぜ囲う必要があるのか?ゼロから徹底解説【初心者向け将棋講座】

なんで玉を囲う必要があるの?

玉を囲っている間に攻めちゃえばよくね?

初心者の方に、こういった質問をされることがしばしばあります。

しかし、だからといって初心者だということではなく、これは実は的を射た考え方なのです。

玉を囲わないでも相手を攻めつぶすことができれば、それに超したことはありませんからね。

実際、プロ同士の対局でも「藤井システム」や「超急戦」など、居玉のまま攻めていく将棋はみられます。

ただし

これは、あくまでも極限られた特殊な変化であって、お互いの同意がなければ成立しません。

結局のところ、相手がどう来ても居玉で戦うというのは、無理があるのです。

そもそも囲いとは何か

「囲い」とは、玉を安全なポジションまで動かし、金や銀をくっつけて堅くすること、あるいは、その最終的な型をいいます。

将棋の序盤において、玉を囲うのは基本中の基本とされ、プロ同士の将棋においては居玉のまま戦うことはほとんどありません。

それだけ、囲いは大切だということなのです。

序盤はお互いに囲い合うだなんて、そんな暗黙の了解みたいな、ご都合主義みたいなことあってたまるか、と思うかもしれませんが、将棋はそういうものなんですね。

玉を囲う必要性

つまり将棋は、玉を囲うのが基本です。

…といっても、まぁ、納得できないですよね。

「なぜ囲うのが基本なのか?」

当然の疑問です。

玉を囲う必要性については、いろいろと言われるところなので、以下に簡単にまとめさせていただきました。

  • 玉が一番大切な駒だから
  • 玉が安全だと中盤で強い戦いができるから
  • 終盤で攻め合いになったときに有利になるから

玉が一番大切な駒

将棋の勝利条件で最もメジャーなのが、相手の玉将を詰ますことです。

どれだけ駒をむしり取られようとも、相手の玉将を詰ませてしまえば勝ちなのです。

つまり、将棋の駒の中でも玉将は最も大切な駒で、絶対に取られてはいけないということです。

「そんな当たり前なこと言われても…」

そうです、玉将は当たり前に取られたら負けになります。

だからこそ当たり前に囲って、取られにくくするのです。

玉が安全だと中盤で強い戦いができる

将棋はお互いの駒がぶつかり合い、取り合い、大駒を成りこんで攻めていくのが基本です。

そして、大駒が自分の陣地まで攻め込んできたときに、玉を囲っているのと囲っていないのとでは、雲泥の差になります。

例えば、この図では、玉のポジション以外先後同型ですが、どちらの攻めの方が早いのかは一目瞭然でしょう。

極端な例ですが、囲いの大切さはこういったところにあります。

またそれに関連して、一般的にお互い同条件で駒を捌いた場合、より堅く玉を囲っている方が有利とされています。

例えば、この図では、お互いに玉を堅く囲っていますが、より堅い方はどちらなのかと言われれば、どう見ても先手ですよね。

ソフトの評価値をみても、このように先手が有利となっています。

これだけ差があれば、少しくらいの駒損ではまだ先手が有利でしょう。

つまり囲いさえしっかりしていれば、多少駒を損しても攻めていくことが可能になるということなんですね。

終盤で攻め合いになったときに有利になる

将棋の終盤では、お互いに玉をめがけて攻めます。

そんな時に、ガッチガチに玉を固めておけば、自分の攻めに専念することができます。

例えば、この穴熊はその最たる囲いで、まず王手が絶対にかからないですし、崩すのに相当手数が必要になります。

仮にこの囲いを攻略して、詰めろをかけるのに10手必要だとしたら、先手はその10手の間に後手を詰ませればいいわけです。

終盤においては、より早く相手の玉に迫った方が勝ちになりやすいからです。

つまり、玉を囲うというのは、一見して守るだけの手ですが、実は思う存分攻めるための手でもあるのですね。

バランスの考え方

さて、ここまで玉を囲う必要性とともに、囲うことでどんなメリットがあるのかといったところをご説明させていただきました。

玉を安全地帯にもっていって、金や銀をくっつけて固める、そこまでは良いでしょう。

しかしながら、囲うということは必ずしもメリットばかりではありません。
実際に囲ってみると、囲いと反対側の駒が少なくなり、守備のバランスが悪くなります。

当然、この薄いところを攻められたら、簡単に破られてしまうことでしょう。

しかしながら、将棋には「捌き」という概念があります。

例えばこの場合だと、右側の駒をできるだけ捌いて、最終的に自分の駒台に乗るか、あるいは相手の陣地に攻め込めればいいということです。

つまり、囲いと関連していえば、要するに

玉側は守りに徹し、その反対側は攻めに徹する。

と、いうことです。

1筋から9筋すべてをカバーするのではなく、左右で役割を分担することで、駒の働きの効率をよくしようという発想ですね。

そういったことで、お互いに合意してよくある序盤戦というものが出来上がり、バランスが取れていると言えるわけなのです。

よくある玉型(囲い)

さて、ここまでで玉を囲う必要性と、バランスの考え方について説明しました。

では、実際にどんな囲いがあるのかということで、下記にいくつかメジャーな囲いをご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう。

美濃囲い

振り飛車党にとって、非常にポピュラーな囲いです。

5手で完成するお手軽な囲いで、横からの攻めに非常に強いという特徴があります。

ただし、上からの攻めには弱く、特に端から攻撃されると玉が左側に逃げる展開になりやすいです。

また、現代では居飛車でも有力な囲いとされています。

居飛車の場合だと左側に囲うため、角がいるので、この形のまま戦う場合が多いですが、場合によっては角を上がって玉も上がることもあります。

高美濃囲い

美濃囲いから発展した囲いです。

ここまでくれば、上からの攻めにもある程度耐久力が付いてきます。

そして、玉の逃げ場所も多いので、攻められてもすぐに詰みになりにくいのがポイントです。

美濃囲いに組んだら、余裕があればここまでいきたいところですね。

もちろん、居飛車の将棋でもこの囲いは有力です。

銀冠

銀冠(ぎんかんむり、ぎんかん)は、高美濃囲いをさらに発展させた究極進化形です。

上からの攻めに非常に強く、玉が広いため、詰まされにくい形になっています。

横からの攻めが心配に見えますが、見た目ほど耐久力がないわけではありません。持ち駒が入れば、7九(金のうしろ)に補強するだけでもかなり強い囲いになります。

高美濃囲いまで組んだら、次はここまで組めれば最高ですね。

ちなみに、7七桂馬と跳ねているバージョンもあります。

木村美濃

この囲いは、木村先生が指したことから木村美濃と呼ばれるようになりました。

銀冠に少し似ていますが、銀の位置が違いますよね。

これは、左右のバランスを良くしやすいという特徴があり、左側の金銀で相手の飛車を受け止めていく方針で指す場合によく現れる形です。

金銀の二枚の囲いながら、上からも横からもある程度の耐久力があるので、優秀な囲いです。

舟囲い

舟囲いは、対振り飛車の急戦でよく指される囲いです。

加藤一二三先生なんかは、ほっとんどこの形でしたね。たまに穴熊なんかも指されていましたが、やはり棒銀が十八番ですから。

この囲いの特徴としては、横からの攻めにとにかく強いこと。金銀4枚ありますから、そう簡単には突破できません。

ただし、上からの攻めには非常に弱いです。特に玉のコビンを香車とか桂馬で攻撃されると、一気に崩壊してしまいます。

ですので、美濃囲いに比べると指しこなすのは容易ではありません。

穴熊

穴熊は、玉の堅さ、遠さ共に最高クラスの囲いです。

振り飛車においては、このようにコンパクトな形になりますが、もちろん歩を突いて金を上がって広げていく手も有力です。

また、居飛車の場合は左側に囲うので、このように角や銀がくっついて、必然的に盛り上がった形になります。

さて、、見れば分かる通り、嫌気がさすほど堅いです。ふざけているのか?と言いたくなるくらいです。

穴熊は田中寅彦先生が本家で、この囲いを指した当時は勝率8割を超えていたようです。やはり見た目だけでなく優秀な囲いなんですね。

しかし、鉄壁に見えても弱点はあります。

先ほどの美濃囲いにくらべて玉がどこにも行けないのと、端が意外と弱いので、ひとたび崩されればそのまま試合終了となってしまいます。

そのため穴熊は、相手が囲いの攻略に手をやいている間に攻めつぶすというのが基本になるので、攻めに自信がある方にオススメの囲いです。

銀冠穴熊

これは、銀冠から穴熊に発展した形ですね。

ここから金を寄ってフタをするもよし、このまま戦うもよしです。

この囲いの特徴は、堅いし遠いのもそうですが、穴熊の唯一の弱点である端攻めをカバーしている点です。

ここまで組めれば、あとは攻めるのみ。

ビッグ4

穴熊の究極形w

全くメジャーな囲いではありませんが、これは紹介せざるを得ませんでした。

この囲いはおそらく、将棋の囲いの中で最も堅く、最も耐久力があり、最も玉が遠いでしょう。

ここまで組ませてくれる相手は滅多に現れないと思いますが、できるなら組んでみたい、そんなロマンあふれる囲いですね。

矢倉

矢倉は、戦法名としても良く知られています。

この形は、上からの攻めに非常に強く、相手の飛角銀桂の攻めを受け止めるような将棋でよく現れる優秀な囲いです。

相振り飛車においては、この形に組めれば作戦勝ちだと言われるほどです。

また、相居飛車の角交換の将棋でも、金の形は違えど似たような囲いがよく現れますので、覚えておくと良いでしょう。

矢倉穴熊

矢倉の形からも穴熊に行く場合があります。

しかし、どんな状況でも組めるというものではないので、あくまでも一例として御覧いただければと思います。

雁木囲い

雁木囲いですね。

ハチワンダイバー観た方なら、形を知らなくても名前は聞いたことあるかもしれません。

この囲いの特徴は、難しいですね。

上からの攻めには強そうですが、あえて攻めを誘いにいっているような意味もあるので何とも言えませんし、横からの攻めにはあまり強そうには見えません。

筆者としては、相手の攻めを誘ってカウンターもしくは入玉を狙うのがこの囲いの特徴という認識なのですが、もしかしたら違うかもしれません。^^;

指しこなすのも難しく、経験のないところなので申し訳ないです。

しかし、「矢倉の時代は終わった、これからは雁木だ」といわれるくらい、現代将棋において見直されつつある囲いなんですよね。

アマチュアの間でも、最近ではよく指されています。気になったら、この際に是非研究してみてはいかがでしょうか。

金無双

おそらく、最も名前がカッコイイ囲いです。

この囲いは、相振り飛車の将棋でよく指されていて、上部からの攻めに強いことが特徴です。

しかし、銀が壁の形になっているので、終盤で結局▲7九銀と戻ることが多いですね~。

玉も狭いですし、耐久力もそこまでないので、指しこなすのは難しい囲いです。

中住まい

中住まいは、主に相居飛車(相掛かり)や横歩取りの将棋でよく指されています。

微妙に形が違うことはありますが、一般的には▲5二玉と上がればもう中住まいです。

この囲いの特徴は、玉が広く、左右のバランスが非常に良いところですね。

ただし、ひとたび攻め込まれると非常にもろいので、広さを生かして逃げ回る展開になりやすいです。

横歩取りなどの激しい将棋が好きな方は、研究する価値があると思います。

右玉

右玉は、相居飛車の将棋において、バランスを重視した囲いです。

相居飛車ではふつう左側に玉を囲うのですが、右側に囲ったので「右玉」という名前になりました。(推測)

この囲いの特徴は、地下鉄飛車で駒の働きが良いのと、玉が広いところですね。

ただし、桂頭が弱点で、この辺りを突かれるとすぐに潰されてしまいます。

広さはありますが、耐久力は低いですね。なので、この囲いも指しこなすには経験が必要でしょう。

おわりに

ここまでで、囲いの必要性、バランスの考え方、囲いの種類についてご説明させていただきました。

色々と書きましたが現代においては、居飛車でも振り飛車でも相振り飛車でも、多様な玉型が見られますので、気に入った囲いがあれば実戦で使っていただいて問題ないかと思います。

それでは、駒割りの基本に関する内容は以上となります。

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